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2005-08-16

ひとり終戦記念映画祭

昨日は盆休みで終戦の日だったので、『CAPA IN LOVE AND WAR』『戦場のフォトグラファー』『Harrison's Flowers』と戦場カメラマンものを続けて観たら、頭痛がして熱が出た。
風邪ひいたかなーと思っていたが、翌朝はなんともなかった。…知恵熱か? 知恵熱なのか?

しかし、続けて観てみて良かった。三本とも前に観た作品なんですが、一緒に観てより深く理解できた気がします。互いが互いの背景になるというか、鏡像になるというか。


まずはドキュメンタリー2本。
『CAPA IN LOVE AND WAR』のキャパと『戦場のフォトグラファー』のナクトウェイ氏は、どちらも名高い写真家ですが、彼らの撮る戦争の様相はずいぶん違います。
作中の言葉を借りれば、キャパの時代は国と国とが戦争していた時代、ナクトウェイ氏の撮る現代は人と人の間に戦争が起こる時代。代表的な被写体も、前者は塹壕の兵士たちや空襲下の市民。後者は山刀で異民族に斬り掛かる暴徒や枯木のように痩せた難民(その難民の中にかつての暴徒がいたりする)。
しかし、根底にあるものは変わらないんですね。
被写体に対する共感や思いやりとか、写真は蛮行を終わらせる手段になるという信念とか、それでも沸き上がってくる「他人の不幸を利用していないか」という疑念とか、そうならないための高いモラルとか。
そういう、ともすれば学者や評論家が安全圏から冷笑を送るようなことを、危険地帯で体を張って実践しているのが彼らのような人達なんだなあ。
関係者のインタビューを聞くと、周囲がいかに彼らに惚れているかよくわかるのですが、優れた報道写真家であることと、魅力的な人間である事は、だいたいにおいて一致するような気がします。タフで知的で自立していて冷静。なによりどんな状況でも心を開き、相手に信頼されなくてはならないのですから。

最後の『Harrison's Flowers』は日本ではCSでは放送されたものの劇場未公開でDVDも出ていないのですが、どうして見応えのある秀作です。
大筋は戦場で消息を断ったカメラマンの夫を探す妻の物語ですが、見どころは彼女の目を通して描かれる戦場と、現地で出会うジャーナリスト達のリアルな描写。
先のドキュメンタリーで訥々と振り返られていた体験が、現場では、死の危険だけでなく精神崩壊の危機も伴う、過酷なものだったのだということがよくわかります。
また、中心人物の一人、若いフリーカメラマンの役をエイドリアン・ブロディが演じていますが、これが非常に魅力的な人物です。
私はブロディ君が演じる人物には無条件に点が甘いのですが(ええ自覚しておりますとも)それを差し引いても、戦争への怒り、無関心への苛立ち、才能への焦燥その他もろもろの感情を、壊れそうな精神に押し込めて、現場に立ち続ける姿には圧倒されてしまいます。
これはおそらく、無名のまま亡くなったジャーナリスト達へのオマージュのような役なのでしょう。

なんにしても、背筋が伸び、頭は垂れる三本立てでした。ああ知恵熱が。

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プロフィール

蛹原タオ

Author:蛹原タオ
sanagihara☆yahoo.co.jp
属性:書痴画狂・犬派・虫キチ・不定形生物好き
趣味:映画・演劇・古書漁・動植物観察
好き役者:A.ブロディ、T.クレッチマン、B.D.ハワード、J.イェンチ他
好き作家:稲垣足穂、種村季弘、たむらしげる、手塚治虫
座右の銘:三十六計逃げるにしかず
*06年3月15日以前のログはこちら

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