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2010-10-31

『30デイズ・ナイト』極北の生態学

ジョシュ・ハートネット主演の『30デイズ・ナイト』を観ながら、「吸血鬼生態学とシタオ機能論を交差させるといかなる事態が起こりうるか」と真剣に20分くらい考察し、そんな自分に気付いて愕然とするハロウィンシーズンの夜長、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

しかしこの映画、吸血鬼ものなのにゾンビ映画に近い扱いなので、てっきり犠牲者数と出血量が勝負の絶叫ホラーだと思っていたのですが、意外にも、極北の地を舞台に捕食者と被食者がひたすら群の生存をかけて渡り合う、クールでクレバーでストイックなサバイバルムービーでした。
というか、はっきり言いましょう。私はこの映画を動物ドキュメンタリーのように観てしまいました。
以下、そんな視点によるネタバレ感想です。

お話はいたってシンプル。要するに、冬になると30日間陽が昇らなくなるアラスカ州の小さな街を、吸血鬼の集団が襲撃する。さあ、次に太陽が昇る日まで生き残ることができるか!?
というもの。
町一個まるごと餌食にする吸血鬼集団(吸血というよりは、まさに捕食という感じですが)はたしかに派手ですが、猟期の短さゆえの集中的捕食行動と思えば罪は無いし、死にかけた個体は仲間の栄養にしてしまう潔さがあるし、個体が増えすぎないようにバースコントロール(むやみに吸血鬼化しないように、犠牲者の首を切っておくこと)まで徹底している。
自らの生態的地位をわきまえた彼らの自己抑制ぶりには、見習うべきところもあるのではないだろうか(真面目に言っているんですよ)。

対する人間ですが、怪物より恐い極北の気候に普段から向き合っているせいか、彼らの合理精神と現実対処能力は、ある意味、人外領域に近いようです。
この手の状況にありがちなパニックや仲間割れはそれほど起こらず(少しは起こるが、なんだか取ってつけたような描写)、かといってベタベタな仲間意識や倫理観にとらわれるでもなく、幼い少女だろうが元友人だろうが吸血鬼化していたら倒すし、生存者の救出は基本的には優先するが、助かりそうにない場合は深追いしない
ひたすら、その時点で望みうる最大限の生存を目指して行動する彼らには、何か野生動物に見られるようなストイシズムが漂います。

そういう経過なので、ラストの主人公の行動は、人間的な自己犠牲精神というよりは群を守るリーダーか、もっと言えば、生体を守るために自壊する細胞のように思える。
(そういえば、増えるだけで自然死しない吸血鬼の生態って、ガン細胞に似ている)

…というような観方をしてしまったので、いったいホラーとして楽しめる作品なのかどうか、もはや私には判断できません。
しかし個人的には、最近多い擬人化過剰な動物ドキュメンタリーよりも、よほどドライな描写に好感が持てる映画でした。



『30デイズ・ナイト』にかこつけて、この本を紹介
極北の地にて
生命も正気も奪い去る極北の自然の怪物性を、克明に、繰り返し、これでもかこれでもかと描いた短編集。
これなら吸血鬼にガブッとやられたほうがマシだなあという死に方や、死にぞこない方が出てきます。寒い!

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プロフィール

蛹原タオ

Author:蛹原タオ
sanagihara☆yahoo.co.jp
属性:書痴画狂・犬派・虫キチ・不定形生物好き
趣味:映画・演劇・古書漁・動植物観察
好き役者:A.ブロディ、T.クレッチマン、B.D.ハワード、J.イェンチ他
好き作家:稲垣足穂、種村季弘、たむらしげる、手塚治虫
座右の銘:三十六計逃げるにしかず
*06年3月15日以前のログはこちら

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