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2010-08-14

東口の煉獄、西口の楽園

鴨居玲展熊田千佳慕展に行ってきました。
単に同じ駅の東口と西口で開催されていたのでハシゴしたのですが、「無茶な組み合わせだなあ」と家族には呆れられましたし、自分でも行く前はそう思っていました。
しかし、結果的にはハシゴして正解。
鴨居展→熊田展の順に行ったので、鴨居展の暗さしんどさを熊田展の明るさ(画風はもちろん、美術展には珍しいくらい子供連れが多くて、実際に明るい会場だった)が払ってくれたおかげで、かえって冷静に振り返ることが出来ました。
やっぱり組み合わせと順序は重要だ。
東口…
鴨居玲(1928~1985)。
この人の絵を観ていると、描くことはそんなに苦しいものかと圧倒されてしまう。
57歳というのは、2、30代で夭折する人が多い(しかし物凄く長生きする人も結構多い)画家の世界では滅茶苦茶若いわけではないですが、画風はまさに闇の中で自問自答を繰り返す、永遠の青年のような作品です。
暗くて何もない空間に、画家自身と似た感じの人物(自画像も多い)が、複数のこともあるけど大抵は独り、薄いスポットライトが当てられたように描かれている。表情や身振りはパントマイム芸人のように豊かなのに、眼は虚ろで、どれを観ても画面から呻き声が聞こえてくるような、なんとも重苦しい絵です。

観ていて思い出されたのが、ラーゲルクヴィストの『バラバ』という小説。
ICWRの話題でもちょっと引き合いに出しましたが、「バラバ」というのは、イエスが十字架に掛けられる際に代わりに赦免になった悪党で、聖書には名前しか出てこないような役どころですが、こちらの小説では、彼のその後の人生が描かれています。
生き残った意味を問い、信じ愛することを求めながらも踏み出せない自分に、最期まで向き合い続けた主人公の姿が、画業が認められてからも何かを問い続けることを止めなかった鴨居氏に重なるように思えてならないのです。

西口…
熊田千佳慕(1911~2009)。
この人の絵を観ていると、描くことはそんなに幸福なことかと圧倒されてしまう。
虫も植物も、緻密で正確な図鑑的描写でありながら、この柔らかさ愛らしさは何なんだろう。
ちょうど一年前に99歳を目前に亡くなった、生涯現役の細密画家、クマチカさん。
この方に関しては、もう何も言うことがありません。本当にお見事な人生でした。

そして、会場で販売していたグッズの数にもちょっと驚いた…。
たしかにTシャツにしても文房具にしても(よっぽどの虫嫌いでないかぎり)喜ばれそうです。

私も思わずポストカードなど多めに買ってしまいましたが、クマチカ先生のは残暑見舞いにちょうど良いですが、鴨居氏のを迂闊に人に送ったら、何かの脅迫としか思われないだろうな。

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プロフィール

蛹原タオ

Author:蛹原タオ
sanagihara☆yahoo.co.jp
属性:書痴画狂・犬派・虫キチ・不定形生物好き
趣味:映画・演劇・古書漁・動植物観察
好き役者:A.ブロディ、T.クレッチマン、B.D.ハワード、J.イェンチ他
好き作家:稲垣足穂、種村季弘、たむらしげる、手塚治虫
座右の銘:三十六計逃げるにしかず
*06年3月15日以前のログはこちら

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