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2007-04-01

門前の虎

諸般の事情により完全にタイミングを外してますが、あまりにも内容の濃かった11話については、やはり何かしら語らねばなりますまい。

・晴信が大井様の前で「虎」が付く家臣の名前をズラッと挙げるくだりは、歯切れが良すぎて早口言葉みたいだった。
・氏綱様の遺言は立派すぎて字幕付きでもよく解らない。
・青木大膳が闖入してきたときの、勘助の「めんどくせー」という表情が最高。
・今川家から「身なりを整えて臨むように」と言われていたが、大して変わっていないような気が。
・勘助率いる信虎出迎え隊に入ると、好男子のはずの之政君までガラ悪く見える(あんな連中に老父を託すのは辛いだろうな)。
・たけだけしいたけだけのちゃくなん(猛々しい武田家の嫡男)…

本題にうつります。

なんだ、この最終回みたいな空気は。
「序章の終わり」の回なわけですが、それにしても気合い入りまくりの脚本と演出に圧倒されっぱなしの45分でした。劇場で観たい。

家臣達への説得と団結、大井夫人と晴信のやりとり、伝兄からミツへの墓前報告、今川家と勘助の動き…と、それぞれの場所でそれぞれに思惑を抱えつつ進む信虎追放計画と、その真ん中で一人だけ、万事自分の思い通りに進んでいると信じて上機嫌の信虎。連歌会の場面は底冷えがしましたよ…。あの状況であの歌を詠める義元様って恐いもんないんだろうか。ないんだろうな。
このへんの、じわじわと網が絞られていくような緊張感がたまりません。
そして、そこに今回のエピソードとは直接関係ない氏綱様の死の場面が挿入され、その遺言を背景に流しながら信虎追放劇の幕が開く、という展開の完璧さ。毎回言ってるような気がしますが、ほんとに凄いですね、この脚本。
国境のシーンに至っては、大役からエキストラまで全員の動きが完成していて、演劇を観ているようでした。
信虎を一人残してサーッと柵の向こうに消えていく側近達、柵の上にずらっと現れる晴信と重臣たち、降り注ぐ矢…あーもう、このシーンだけでも劇場で観たい!
信虎が「晴信を斬れ!」と明言しちゃったときの、一同のなんともいえない表情も良かった。あの時点で家臣の心は完全に信虎から離れたんでしょうね……哀れだなあ。
そこに満を持しての勘助登場。おおっ、久しぶりに主役オーラが!
とっさに弓を構える板垣と止める晴信、今川家で貰った眼帯を外してミツの眼帯を付ける勘助、一人その意味に気付く伝兄…という畳みかけるような緊迫感と、その後の、馬上で泣く晴信と気遣う信繁の静かな場面への展開も良い。それにしても良く出来た弟でよかった…というか、出来てないのは父だけか。

勘助と信虎の対決シーンは、それまで抑えに抑えていたものが一気に噴出して荒れ狂い、浄化されていくようでした。野原に夕焼けの背景がまた、綺麗なんだ。
ミツの回想シーンも、ここで一気に見せるために今まであまり出さなかったんだろうな。…それにしても、笑ったり泣いたりしているミツを見ると、改めて、勘助は何て大きなものを失ったんだろうかと思います。

それにしても、なんで斬らなかったのか?
袂を切られた時点で理由は出来たわけで、実際、青木が乱入しなかったら斬っていただろうなという勢いでしたが。
全てをなくした老人への哀れみとか、明らかに死にたがっている者を殺してもしょうがないとか、息子への敗北を認めた信虎に武士として敬意を感じたとか色々あるんでしょうが、大望とやらのためではないと思うな。ミツのことに決着を着けないうちに、そっちに気持ちをシフトできるような男とは思えない。
結局のところ伝兵衛が言ったように、信虎がいなくなった平和な(とまではいかなくても、ちょっとはマシな)甲斐以上に、ミツに捧げるものなんか何もなかったんじゃないかという気がします。
ましてや、花を摘んだとも思えないような死体を転がしたところで、甲斐の土にもなりゃしねえ。

しかし、考えてみれば信虎はこれから、笑いものになりに駿河に行くんですね。
連歌の場面に出ていた大井夫人の父の姿は、今にして思えば信虎の末路の暗示だったのでしょうが(そのために義元さんがわざわざ呼んだのだろうか。そうに違いないという気がする)、あれほど強さを誇っていた人間が、かつて自分が嘲笑していた相手と同じ立場になるってのはどんなものでしょうか。
それでも死ななかったのが、彼なりの敗北の認め方だったのかとも思います。
何にしても、怪物信虎にふさわしい完璧な負けっぷりでした。

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プロフィール

蛹原タオ

Author:蛹原タオ
sanagihara☆yahoo.co.jp
属性:書痴画狂・犬派・虫キチ・不定形生物好き
趣味:映画・演劇・古書漁・動植物観察
好き役者:A.ブロディ、T.クレッチマン、B.D.ハワード、J.イェンチ他
好き作家:稲垣足穂、種村季弘、たむらしげる、手塚治虫
座右の銘:三十六計逃げるにしかず
*06年3月15日以前のログはこちら

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